隷従執事の言いなり
イケメン二人がこぞって顔に対しての不満を言い合っている様はなんとも不思議なもので。
私からすれば、苛立ちさえ感じる。
だって…
「あのねぇ、二人はいいじゃない!間違いなくかっこいいんだから!私なんて、私なんて…!」
この平凡な顔のつくりを目の前に…。
本当に失礼な人達。
『え…?』
『お嬢…様?』
そこで、何故かキョトンとした後、目を見合わせるふたり。
そしてその目線は私に注がれる。
『もしやお嬢様…鏡を見たことがないんでしょうか?』
すっごく真面目な顔でこう聞いてくる碧に、本当に馬鹿じゃないかと言ってやりたくなる。
「それくらい見たことあるわよ!馬鹿にしてるの!?」
『じゃあなんでそんな事思うんだよ…。目腐ってんじゃねえの?』
次に不信な目で私をじっとみつめたのは波留くん。
目、目が腐ってるですって…!
し、失礼な!!
『だってさ、そーとしか思えないよ。だってあんた可愛いじゃん』
「はぁ!?」
貶されたと思って戦闘体制に入っていた私としては、急に現れた褒め言葉に一瞬意味が分からなかった。
『ちょ、何くどいてんですか!?』
碧も焦った様にわたわたとした後、私を見つめ、
『椿様はちゃんと可愛いですよ?』
口説き文句を吐き散らかした。