君へ願うこと
⑥ 「この嘘付きメガネ!!」
※※
「は!?市ノ瀬がそう言ったの!?」
週明けの月曜日。
誰も使ってない教室に惠子ちゃんの声が響いた。
「う、ん」
駄目だ
思い出すだけでも涙が出てくる。
好きだと気が付いて
もっともっと距離が近づくと思ったその矢先
あたしは市ノ瀬君から残酷な言葉を受け入れてしまった。
「や、やっぱりね。そうだと思ったよ」
なるべく軽めに。
あたしの気持ちが伝わらないように。
努めて明るい声で言ったあたしに
市ノ瀬君は最後まで
悲しい顔をしていた。