Real...*
6月
美術の時間。
私が落とした定規を拾ってくれたね。
君は一つ前の席で、わざわざ後ろを振り向いて拾って
「コレ誰の」
って...。
完全に私の方を向いていた気がするけど、本当は私が落としたって知ってたの?
拾ってくれるなんて思ってもなかった。
だから、私は君の顔は一度も見れなかったよ。
定規を握る君の手ばっかりを見て、素っ気なく
「ありがとう」
なんて言った。
それだけで、その時間はずっと幸せだった。