【短編】二目惚れ 〜歩道橋の上の恋愛小説
「はい、ではスタート〜」
「(咳ばらい)ウッン…ウウッン…あ〜あ〜」
R:「あっ…悪いっ!その前にもう一杯だけ、コーヒー持って来てくれる?」
S:「りょうか〜い! じゃ〜5分だけブレイク挟みましょう!」
ガチャ
ガチャ…
録音ルームの二枚扉を開け、薄いピンクのメガネをかけた女性が入って来た。
ここの録音スタジオの、チームリーダー酒井さんだ!
その手には、熱いインスタントコーヒーのはいった2枚重ねのカミコップを、二つ持っていた。
酒井リーダーは、恋愛小説大好き人間だった。
寝食を忘れる程、いや彼氏とのデートよりも、恋愛小説の方が、優先順位が上になる事もある程、はまる事もあったらしい!
酒井:
「…失礼しま〜す… はい、コーヒーど〜ぞ!」
R:「ありがとう…」
「…亮介さん、楽しみにしていました…心して、聞かせて頂きます…」
「そんな〜メガネの似合う美人スタッフからそんな風に言われると、逆になんだかプレッシャーになっちゃうな〜!」
「いえいえ…決してそんなつもりでは…私はただ打ち合わせの段階で粗筋を少し聞いて…
「うそ、嘘! 大丈夫だよ!そんな大層な意気込みで話す訳じゃないから…ただ有りのままを話せばいいだけなんだから…うん…自宅のリビングで話す感じでやってみるよ…それに〜〜」