【短編】二目惚れ 〜歩道橋の上の恋愛小説










『あるよく晴れた日の学校からの帰り道…私、亮介(りょうすけ)は、学生服にテニスバッグを右肩からぶら下げた恰好で、歩道橋の上り階段をとぼとぼと上がっていた時でした…』

『私は今でこそ身長は高い方ですが、その頃はもっとチビで、あどけない顔付きをしていました…そして今よりもっと、シャープなラインの顔付きだったと思います…』

『もちろん今は、その面影もなくなりましたが、その分、大人の男の渋味で十分カバーしていると…自分では思っています!』

(クスクス…)

亮介はスタジオの窓の外にいる女性スタッフ達にウインクをしながら、自分の事を冗談めいて話した…


S:(よしっ! 亮介さん、乗ってきた〜! …これも酒井マジックのおかげかぁ…)



『え〜テニス部の高校2年生の私は、先輩からの厳しい指導を受け、足の筋肉が言う事を聞かなくなる程、疲れていました…だからいつものように一段飛ばしで軽く駆け上がる事ができず、ゆっくりとした動作でその歩道橋の階段を上っていた時でした…』

『私の高校とは違う、別のブレザー制服の女の子が、駆け足で階段を駆け降りて来ました…』


『二人ともお互いがちょうど曲がり角の死角に入っていたので、二人は階段の上でぶつかってしまいました…』


『女の子は何か急いでいるようでした…今日の私は、全くフットワークが重く、それは必然的に神様がたくらんだ出会いのようでした… 』

亮介は準備している若くない二人に、合図を出した!
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