マザーレスチルドレン
Chapter 02
ケンイチ
ケンイチは母親達による虐待を受けて育った。
物ごころがついた時からまともな食事は与えてもらえなかった。
一日の食事がカップ麺一個というのが日常的だった。
いや何も食べられない日が一週間のうちに何日かあった。
五歳になったケンイチは本当の父親を見たことがなかったが、
母親が連れてくる何人かの男達によって絶えず暴力だけは与え続けられた。
男達は理由もなくケンイチを殴った。
パチンコに負けた腹いせに横腹を加減なく蹴りあげられる事もしばしばだった。
古くて日当たりの悪い二階建てのアパートの一階の角部屋が親子の住み家だった。
母親は無職だったが親子は母子家庭に政府が支給する生活保護費で生活していた。
母親にとってケンイチはその保護費を受け取る為だけの存在に過ぎなかった。
男が泊まっていく夜には母親はいつもケンイチの両手両足を
ナイロンの紐で縛ると体ごとケンイチを洗濯機の中に押し込んだ。
彼は蓋を閉じられた洗濯機の中で首まで水に浸かりながら一晩過ごした。
母親はケンイチ一人を残して平気で、二、三日帰ってこない時もあった。
そんな時は隣に住んでいる醜く太って精神を病んだ女が
ケンイチに手料理を食べさせた。
代わりにケンイチはその女の妄想話を延々と聞かされた。
それだけが彼が口にするまともな食事だった。
物ごころがついた時からまともな食事は与えてもらえなかった。
一日の食事がカップ麺一個というのが日常的だった。
いや何も食べられない日が一週間のうちに何日かあった。
五歳になったケンイチは本当の父親を見たことがなかったが、
母親が連れてくる何人かの男達によって絶えず暴力だけは与え続けられた。
男達は理由もなくケンイチを殴った。
パチンコに負けた腹いせに横腹を加減なく蹴りあげられる事もしばしばだった。
古くて日当たりの悪い二階建てのアパートの一階の角部屋が親子の住み家だった。
母親は無職だったが親子は母子家庭に政府が支給する生活保護費で生活していた。
母親にとってケンイチはその保護費を受け取る為だけの存在に過ぎなかった。
男が泊まっていく夜には母親はいつもケンイチの両手両足を
ナイロンの紐で縛ると体ごとケンイチを洗濯機の中に押し込んだ。
彼は蓋を閉じられた洗濯機の中で首まで水に浸かりながら一晩過ごした。
母親はケンイチ一人を残して平気で、二、三日帰ってこない時もあった。
そんな時は隣に住んでいる醜く太って精神を病んだ女が
ケンイチに手料理を食べさせた。
代わりにケンイチはその女の妄想話を延々と聞かされた。
それだけが彼が口にするまともな食事だった。