君想い唄。-キミオモイウタ-
―――――ガラッ
突然響いたその音に、私はハッとドアに目を向けた。
「…あ、ごめん。驚かしちゃった?」
そういって静かに扉を閉めたのは、拓斗さん。隼人のお兄さん。
穏やかに笑って、私の隣に腰掛ける。
「……こんにちは」
私はこの人を見るたびに、謝りたくなる。
だって隼人が事故に遭ったのは、私と出かけたから。
あんな雨が降っている中で、出かけたりなんてしたから。
だけど、私の考えを裂くように、拓斗さんは愛想のいい笑みを浮かべて私を見た。