君想い唄。-キミオモイウタ-





「そうだけど…それがどうかしたの?」


今度は逆に私が問いかけると、隼人は「いや、」と呟いてから、

「何であんなの、欲しがったんだ?“くまうさぎ”なんて、流行ってる訳でも何でもなかったんだろ」



その言葉に、ぎくりと肩を揺らす。


…欲しがった理由、なんて、言える訳がない。

恥ずかしすぎて無理。



「…いや、ただ、可愛いなぁと思ったんだよ」

「ふーん…?」




私の答えが気に入らなかったのか、隼人は眉根を寄せて私を見る。

視線を泳がせる私は、何が何でも理由を言うつもりはない。



だって、
“少し隼人に似てるから、持ってればいつも一緒にいるみたいだと思った”なんて、


…言えない。




       -fin-
< 44 / 45 >

この作品をシェア

pagetop