君想い唄。-キミオモイウタ-
「そうだけど…それがどうかしたの?」
今度は逆に私が問いかけると、隼人は「いや、」と呟いてから、
「何であんなの、欲しがったんだ?“くまうさぎ”なんて、流行ってる訳でも何でもなかったんだろ」
その言葉に、ぎくりと肩を揺らす。
…欲しがった理由、なんて、言える訳がない。
恥ずかしすぎて無理。
「…いや、ただ、可愛いなぁと思ったんだよ」
「ふーん…?」
私の答えが気に入らなかったのか、隼人は眉根を寄せて私を見る。
視線を泳がせる私は、何が何でも理由を言うつもりはない。
だって、
“少し隼人に似てるから、持ってればいつも一緒にいるみたいだと思った”なんて、
…言えない。
-fin-