一年と二ヵ月


電車が駅に着く。

停車駅の中でも
何本も路線を持つ主要な駅。

人がたくさん降りた。


あたしがいる近くのドアからは
ほとんどの人が降りたからガラ空き。


落とし物、探してあげようかな。

幸い、何かを落としたらしい人はいた。


床をキョロキョロと見回す。


――――――あった!


8人掛けのイスの真ん中辺りに
指輪を見つけた。

多分、アレ。


「すいません。
そこに落ちてる指輪、
あたしの物なんです。

拾っていただけませんか?」


話しかけた女性は
「はい、どうぞ。」
と快く拾ってくれた。


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