一年と二ヵ月


指輪を見ると、名前が彫ってある。


『RUI&HARUKA』


結婚指輪かな。

でも、結婚指輪なら
普通必死になって探すはず。

とりあえず、返さなきゃ。


「あのー…すみません。
この指輪、さっき落としませんでした?」

男の人は近くで見ると、
見上げないと顔が見えないくらい
背が高い。


「…あっ。すいません。
僕のです。」

男の人は驚いた様子。

まさか戻ってくるとは
思わなかったんだろう。

指輪を手渡して、顔を上げる。

……なんか、見られてる?


「あの…何か?」

はっとした感じで我に返る彼。

「あ、何でもないです。すいません。」

「じゃあ、あたしはこれで…」


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