一年と二ヵ月
「待ってください!」
腕を掴まれる。
「な、何ですか…?」
男性は真剣な目をしてる。
あたし、なんかしちゃったかな…
「もしかして、傷とかついてました?
大事に扱ったつもりなんですけど…
すみません。」
「あ、いや、違うんです。
良かったら、お礼させてください。」
お…お礼?
そんな、いいのに…。
「いや、結構です…
あたしは拾っただけなんで…。」
ていうか、あたしがぶつかったせいで
落とさせちゃったようなもんだし。
「是非させてください。
空いてる時間があったら、
この連絡先に電話ください!」
そう言って、名刺を渡される。
『まもなく、春名、春名でございまーす。』
車内放送が流れた。
「じゃあ、ここで降りるんで。
連絡、お願いしますね!」
男性は急いで降りていった。
どうしよう………
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