一年と二ヵ月
あたしが乗り込むのを見ると、
ドアを閉めて東も車に乗る。
「しっかし、あっつい。」
東が手でパタパタと扇ぐ。
「なんで迎えに来たのよ。」
思わずムッとなる口調。
「しょうがないだろ。
だんな様の言いつけを
守らないわけにはいかないんだから。」
「そうだけど…。
あたしがそういう
お嬢様染みたことが嫌いなの、
知ってるでしょ?」
「だんな様の気持ちも分かってやれよ?
歩いて帰って、
知らないやつに襲われでもしたら、
あの人気が気じゃないんだから。」
「パパは心配性なんだよ…」
昔のパパは冷めた人だったらしい。
でも、あたし達が生まれてからは
素晴らしいほどの親バカになっちゃって、
ママが最初びっくりしたって
聞いたことがある。
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