一年と二ヵ月


…………ちょっと待て。

「そんな泣くことじゃないでしょ?
あたしだってピンクの服ぐらい着るよ!」

まぁ、実は自分で着ようと思ったのは
今回が初めてだけど…


「早紀、嘘言っちゃダメよ。
早紀がピンクの服着たのは
小学校4年生の時だけ。

あたしが無理やり着せたのが最後だもん。」

「うっ……」

確かに、それが最後。

ったく、余計なことばっか
覚えてるんだから…


「早紀、着てみてよ!」

「……え?」

「早紀は絶対似合うと思う!」


パパとママの目が輝いてる。

これは着なきゃいけないパターンか…?

「ほら、早く!」

ママに脱衣場まで背中を押される。
どことなく嬉しそう。


「じゃあ、早く着替えて来てね!」

語尾にハートが付くような勢いで
脱衣場から出ていった。


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