一年と二ヵ月


「拓真!どうしたの?」

「学校まで一緒に行こうぜ。」

「いいけど…」

ぶっちゃけ、気まずさは抜けてないけど、
断ったらさすがに変だよね…


拓真と肩を並べて歩く。

なんか、違和感。

いつも1人だったっていうのもあるけど、
大人になった拓真が隣にいて、
こうやって歩いてるなんて
全然想像できない。

変に緊張して
何話せばいいか分かんないよ…


「東が送り迎えしてないのか?」

先に口を開いたのは拓真だった。

「高校生になったから、
1人で行きたいって行ったの。」

「よくおじさんOKしたな。」

拓真はパパの親バカ具合を知ってる
数少ないうちの1人。

「頼んだ日は大変だったよ。
拗ねて自室こもっちゃうし、
ご飯いらないとか言い出すし。」

思い返してみると、
あの時はほんとに大変だったなぁ…

「アハハ、おじさんらしいわ。」

「笑い事じゃないんだけど〜」

うー、と口を尖らせる。


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