一年と二ヵ月
再び歩き出す。
「智香ちゃん、可愛いね。
許嫁がいたなんて知らなかったよ。」
「あぁ…」
拓真の返事が覚束ない。
「どうか、した?」
「何でもないよ。
久しぶりに会って、びっくりしただけ。」
「そう……」
2人の間に、何があるのかは知らない。
あたしはにきっと、
入り込めない、2人だけの世界。
幼なじみって、もっと、
何でも分かってると思ってた。
小さいときも、付き合ってたときも、
許嫁がいたなんて、話してくれなかった。
もちろん、
全部を話さなきゃいけない
わけじゃないし、
話したくなかったら、話さなくてもいい。
ただ、ちょっと、悲しい。
許嫁がいたのに、
何であたしと付き合ってたの?
許嫁がいたから、
七海に付き合ってたことを
言うなって言ったの?
今でこそ、普通に幼なじみに戻ったけど、
だからといってあの頃が
なくなるわけじゃない。
なんか、色々ゴチャゴチャしてきた…
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