一年と二ヵ月


「あ、そうだ!」

七海の頭に電球が灯ったらしい。

「なに?忘れ物?」

「今日、早紀んち行く。」

「はぁ?!何しに来んのよ。」

「早紀をかわいーくするの。」

今、最後に音符がついてたよ、絶対。

七海が思い付くことなんて、
いっつも、しょーもないことなんだよね。

「かわいくって、何ソレ。」

「だーかーら、あたしが直々に、
早紀に化粧するって言ってんの。
光栄なことなんだからね?」

フフン、とふてぶてしく笑う。

「いや、そんな迷惑そうなら
わざわざしなくていいよ。」

「やるの!
そうだ、髪も巻いちゃおうよ!」

七海の目はキラキラしている。
要はやりたくてしょうがないってことね。


「何時にどこで待ち合わせなの?」

「18時に久賀駅前にいて、だって。」

「久賀だったら
17時半に家出れば十分間に合うね。

じゃあ16時半に早紀んち行くから!」

もう、勝手にしてください……


_
< 80 / 83 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop