一年と二ヵ月
「あ、そうだ!」
七海の頭に電球が灯ったらしい。
「なに?忘れ物?」
「今日、早紀んち行く。」
「はぁ?!何しに来んのよ。」
「早紀をかわいーくするの。」
今、最後に音符がついてたよ、絶対。
七海が思い付くことなんて、
いっつも、しょーもないことなんだよね。
「かわいくって、何ソレ。」
「だーかーら、あたしが直々に、
早紀に化粧するって言ってんの。
光栄なことなんだからね?」
フフン、とふてぶてしく笑う。
「いや、そんな迷惑そうなら
わざわざしなくていいよ。」
「やるの!
そうだ、髪も巻いちゃおうよ!」
七海の目はキラキラしている。
要はやりたくてしょうがないってことね。
「何時にどこで待ち合わせなの?」
「18時に久賀駅前にいて、だって。」
「久賀だったら
17時半に家出れば十分間に合うね。
じゃあ16時半に早紀んち行くから!」
もう、勝手にしてください……
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