一年と二ヵ月


「いっそのことさ、
化粧品買いに行っちゃおうよ!」

「いっそのこと過ぎるね…」

七海の考えることは
突拍子のないことばっかり。

まぁ、もう慣れたけどね。

「いーじゃーん。
どうせヒマでしょー。」

土曜日は四時間授業だから
お昼には帰れる。

18時には全然余裕の時間。

「あたしお金持ってないもん。」

6月下旬の今、財布はすっからかん。
月一万のおこづかいも
なんだかんだすぐ無くなっちゃう。

「あたし持ってるもん。」

七海が自分の財布を出して
所持金を確認する。

「大丈夫、二万はある。」

二万って………
高校生が持つ額じゃないでしょ。

「じゃあ、今度返す。」

「決まりね!
帰りはマツ○ヨ寄ろう!」

七海の目が、さっきより断然輝いている。

ま、いっか。


チャイムが鳴って授業が始まった。


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