Vampires and roses ~ヴァンパイアと薔薇~
memory ~記憶~
…イギリス・ロンドン…
―ザワザワッ…
ここはガーランド家所有パーティー会場。
そこに一際目を引く美しい金髪で赤い瞳の美少女が立っていた。
赤い薔薇の髪どめをつけ、黒いサテンのロングドレスに身を包んでいた。
「アイリーン様、どうされました?」
「いえ…ただ気分が優れないだけです。少ししたら大丈夫ですので…。」
「お大事になさいませ。」
…上部だけの心配。
私はそんなものを求めてはいないのに…
ただただ、
心から許せる人が…
欲しいだけなのに…。
私はアイリーン。
とある一家の令嬢。
今日もパーティー。
そしておば様、おじ様のお相手。
聞かされる話はどうせ自慢話か世間話。
私が望んでいるのは家族で食卓を囲んでいる時間なのに―…。
お父様はお客様の接待で忙しい。
そしてお母様も…。
忙しいのは分かってるの………。
でも―…。
側にいたい。
「エリザベス。」
「お父様…何?」
そこにいたのは私のお父様、ロレンス・アルフォード。
「さっきお客様にお前の顔色が良くないと聞いてね…、大丈夫なのか?」
「はい、私のことはお気になさらずに…。」