華と…



「優子さん!」



「ほんに、そないなキツイ物言いは操はんらしゅうあらしまへんなぁ。

おてんばで、男勝りやったのはかつてのあたしの方でっしゃろ」


母に向き直った優子お母さんは、とても悲しい目をしていたんだ。


「優子さん、あたしは二階堂との結婚で救われたの。

あたしを捨てたのは健一さんの方なのよ。

あたしはどんな苦労だって健一さんとなら乗り越えられると思ってた。

でも、健一さんは違ったの。

彼にはあたしが重荷だったの。

あたしは捨てられたのよ」


「そないな筈ある訳がおへん」


二人のやり取りに、わたしは身の置き所を失っていた。


ちらりと雄蔵お父さんを見る。

彼は静かに目を閉じて、二人のやり取りに聞き入っていた。

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