華と…



まさか、とんでもないゲテモノ探しに狩り出されたとか?



わたしの中に一抹の不安が過った。


「ねぇ、まさかこんな雪の中で山菜採り、じゃないよね?」

「まぁね」

「なんか秘密主義だなぁ」


「山菜採りの時期や場所は、家に代々伝わる秘密なんだ。

当然だろ」


と言うことは、やっぱり山菜採りなのだろうか。


あたしはムッとしたまま、言葉を呑み込んだ。


――なによ、ロマンチックもなにもあったもんじゃない。折角久しぶりに二人っきりなのに……


山に近づくに連れ、景色はどんどんと雪深くなっていった。


「ねぇ」

「まぁ、待てって」


そして峠をひとつ越えた山の谷間で、雄一は車を停めた。
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