華と…
そこには、山を背に、南に開けた畑があった。
畑には一面、まだ雪が沢山残っていた。
見上げた山の斜面は、丁度太陽に向かった南斜面で、日の光を浴びて一面が眩いばかりに輝いている。
「ここはうちの田んぼなんだ。
酒造りには、特別な米が使われる。
山田錦。
それをこの田んぼで作ってる。
俺も子供の頃は、田植えや稲刈りの手伝いに駆り出されたもんさ」
「ふぅ~ん」
「ほら、おいで」
雄一に手を引かれて歩き出だした。
田んぼの畦を、山に向かってゆっくりと歩いていった。
「踏み外すなよ、はまるぞ」
「わかってるって」
そして、白く輝く雪の斜面を前に、雄一が立ち止まった。