華と…



むせるような強い匂いではなく、ほのかに香る春の香り。

土蒸せた、素朴な自然の香りがした。



「だから……華、僕たちの関係も、一から仕切り直しだ。

これから先、何度壁にぶち当たっても、すれ違っても。

たとえ憎み合うことがあったとしも、僕はまた、全てをクリアして一から繰り返す。


華は僕の命だから。


何度繰り返しても、それは変わらないと誓うよ」


「雄一……」


きつく抱き寄せられて、唇が重なった。


いつも突然な雄一の愛情表現に、わたしはこれからも驚くことになるのかな。



目の眩むような光と、土の匂い。

空の青と雪の白。

黒い土と緑のふきのとう。



そして……


雄一のぬくもり。
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