華と…



――もう絶対、許さない!!



「華、きみだって分かってるだろ。

仕事に対する興味はある。

でもそれはきっかけに過ぎない。

華との結婚を皆に認めて貰うために、俺がここにいるんだって。


華、あ……」


わたしは耳を両手できつく塞いだ。

その後に続く雄一の言葉を拒むように。


そんなわたしに一歩近づいて、雄一の大きな手がわたしの両手をそっと包み込む。

雄一の笑顔が近づいてきて、わたしの唇を優しく塞いだ。



ぬくもりの記憶が呼び覚まされる。


雄一のキスはずるい。
< 120 / 202 >

この作品をシェア

pagetop