華と…



「華?」



今度は心配そうにわたしを覗き込む雄一の視線を、わざとそらした。


「もういい……

なんかどうでも良くなった。

雄一も家も。

誰もわたしの気持ちを第一には考えてくれないもの。

どうせわたしは我が儘で、こんな寂しさなんて取るに足らないくだらない物なんだ……」



「華、俺は……」



何かを言いかけた雄一を残し、わたしは家を飛び出した。


いつもは冷静なわたしが、着の身着のまま、財布も持たずに。
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