華と…

「はは……確かに。

少々歳が離れ過ぎですね。

旦那様に先日、丁寧に謝罪されましたよ。

どうやら、旦那様はわたしと華さんを一緒にさせて店を継がせる気でいらしたらしい。

いえ、一度もそんな話をされたことはなかったのですよ。

只時折、華さんに男友達が出来ないのを気に悩んでおられるご様子で、冗談で、その時はわたしが貰って差し上げますと。

旦那様はとても律儀な方ですので、その時の話をずっと心の内に秘めておられたのでしょう。

華に良い男が出来たらしいと、それは嬉しそうにおっしゃって。

その彼に仕事のいろはを教えてやってくれと、わたしなんぞに頭を下げて頼まれて。

その代わり、わたしにはゆくゆく店を構える手助けをしてくださると、そんな約束までしてくださいました。

華さん、旦那様はもう雄一さんを十分認めておられますよ。

只、雄一さんもあのお気質ですので、仕事をしっかり覚えて、ご自分のお立場がはっきりと示せるまでは気を抜くことはないでしょうけれど」

< 129 / 202 >

この作品をシェア

pagetop