華と…
…>> ふるさと
秋田駅、ホームに降り立つと、そこには雄一の姿があった。
「お疲れ、眠れた?」
「うん、寝台列車って初めてだけど、結構いい感じだった。なんかお泊りごっこしてるみたいで」
「だろ?
寝て起きたら着いてるし、新幹線乗り継いで盛岡から回ってくるより、よっぽど楽だよ」
そんなとりとめもない会話の後、雄一がわたしの荷物を持って歩き出す。
わたしもその背中を自然と追った。
「よく来たな」
前を向いて歩きながら、雄一がそんな言葉を呟いた。
「なんか、不思議な気分」
「そうか?」
「ここが、雄一の生まれた場所なんだね」
「ああ、ここが俺の生まれて育った場所。華に見て欲しかった」
この旅が、わたし達の始まりになるのか、終わりになるのか。
今のわたしには、これから先の展開が全くわからなかった。
雄一がわたしに、何を見て欲しいのかも。
わたしが何を見てしまうのかも……