華と…
…>>>> かくご
わたしの表情が変わったのを、坂本は見逃さなかった。
「そろそろ戻りましょうか?
雄一くんが、きっと心配していますよ」
雄一の名が出たことに、わたしは少なからず驚いていた。
「なんでそう思うんですか?」
「彼はいまどき稀に見る一途な男ですから。
店にいる時も、いつも奥のあなたの様子を伺っていますよ。
なにが喧嘩の原因かは分かりませんが、彼はいつも華さん、あなたのことを気にかけています。
喧嘩して、家を飛び出して、こんな時間まで行方知れずとなれば……」
時計を見ると、あれから二時間近くが経過していた。