華と…

「一緒に居ればいるほど、坂本さんは仕事も出来るし人情に厚い良い人だってわかったよ。

華の親父さんだって、厳しいことは言っても、根は愛情深い人なんだなって。

そこへ無理やり入り込んだ俺は、どうしたって努力しなけりゃ居られない。

どうやったら俺を認めて貰えるか、そんなことばかりに囚われて。

華と一緒に居られることに浮かれてる暇なんてある筈ないだろ」


「雄一……」


震える雄一が、そっとわたしの上に身を預け、その手がわたしの頬を優しく撫でた。


「俺だって、華に触れたいさ……

こうやって、何時も抱きしめていたい。

でも、それじゃあ何も前に進まない。

いつまでも、子供でいる訳にはいかないんだ。

なのに、華にあんな風に逃げられたら……


俺はどうしたらいいのさ……」


雄一の泣きそうな顔がわたしの上に落ちてきて、首筋に口付けを落とした。


「華、愛してるんだ……」


耳元で囁かれた、雄一の熱い想いにわたしは気が遠くなりそうになる。
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