華と…


「ま、いっか、そういう事にしておこう。

華が逃げなきゃ、いつでも抱けるしな。

でも、折角だから……」


あっさりと引き下がったと思った雄一は、そのままわたしに熱いキスを落とした。


それは今までとは少し違う、熱を帯びた炎のような、まるでわたしをそのまま焼き尽くさんばかりの熱いキス。


角度を変え、深く絡められた舌先が、わたしの身体を火照らせる。


まるで……、魂を吸い取られるようだった。


「……っつ、あぁ、ゆう……」


もう限界、という見事な頃合いで唇が離された。


「続きはあとで……、覚悟しとけよ」


そう言って、身を起こした雄一は、悠然とシャツを羽織った。


「じゃ、俺仕事に戻るわ」



――変わり身の早いのも、雄一の特技の一つかな……



部屋に一人残されたわたしは、彼の去り行く背中を目で追いながらそんなことを思った。


心に確かな覚悟を決めて。

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