華と…



「う~ん、なんか思い詰めた感じだったから、気になってたんだよね、華のお母さん」



雄一はそんな重大なことを、今更のようにわたしに話して聞かせるつもりなのだ。


「お袋からも、『操さんの様子はどうか?』って、あれから何度も聞かれたし。

よっぽど昔と様子が違ってたんだろうなぁ、華のお母さん。

人格も変わる程に。

それって、すっごいストレスじゃない?」


雄一にそう言われても、わたしには実感が湧かなかった。

だって、わたしが生まれた時から、母は母で。

優子お母さんが馴れ親しんだ、若かりし頃の母の姿を想像することさえできなかったから。


「彼女には、何か公にできない秘密があるんじゃないかな」


雄一は、サラリとそんな意味深な言葉を吐いて、わたしの心をかき乱す。
< 160 / 202 >

この作品をシェア

pagetop