華と…
でも、最近少し分かってきた。
彼のそんな立ち位置は、全てをあるがままに受け止めようとする、彼なりの愛し方なのかなって。
「お見舞い行くなら、付き合うよ。
気になるんだろう?
きっとお父さんのことだ、何も食べずにトイレさえも我慢して、お母さんの傍についてるんだと思うよ」
考え出すと立ち止まってしまう、そんなわたしの性格を熟知している彼は、そっとわたしの背中を押すことも忘れない。
わたしは、病院に泊り込む覚悟でいる父の為に、当座の着替えや眼鏡、タオルや髭剃り、洗面用具に寝巻き、そんな身の回りの品物を小さなボストンバックに詰めた。
夜食にと、父の好きな魚正の寿司の折り詰めを携えて。
わたしは雄一の運転する店の車で、何かに追い立てられるように病院へと向かった。