華と…

「深雪は俺の妹。

深雪は母の連れ子だから、血は繋がっていなかったけど。

歳も近くて、仲が良かったんだ。

でも三年前に突然死んだ。

癌だったんだ。

気付いた時にはもう手遅れで、手の施しようがなかった。

だって、そんな……、まだ十六の深雪が癌に侵されてるなんて、誰も考えもつかなかったんだ」


「そんな話、始めて聞いたよ」

「だな」

「その『みゆき』さんのこと、好きだったんだ」


わたしの鎌かけに、雄一は、少しも驚かずに静かに答えた。


「好きだと思ってた。

あの頃の俺は、必死に深雪を守ろうとして、一緒に泣いて、苦しんだ。

その気持ちを、恋だと思ってた。

あいつが死んで、その思いは確信に変わった。

もう誰も愛せない、俺は一人で生きていく、そんな風に思ってた。

……でも違ったんだな」



雄一の眼差しが、優しくわたしを捉えた。
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