華と…
やっと八階に着いて扉が開くと、何故かそこには雄一が立っていた。
「華?」
少しだけ眉間に皺を寄せ、雄一が怪訝そうな顔でわたしを見た。
それ程に、わたしの顔は強張っていたのだと思う。
それでもわたしは止まることなどできなかった。
エレベーターを降りるなり走り出したわたしを、雄一の声が後ろから追いかけてくる。
「華、待てよ!」
待てる訳がない。
雄一の顔を見て、わたしの疑問は確信に変わった。
そこに、わたしの知りたい何かかがあるのは確かだった。