華と…
そんな中、深雪が倒れた。
はじめは足が痛いと言って、びっこを引いて歩く程度だった。
成長期にはよくあることだと、町医者は最初、真剣に取り合わなかった。
だが、次第に深雪の食欲が落ち、頭痛がすると寝込むことが多くなり。
周りの者が心配して大学病院での検査を薦めてくれたのだ。
検査の結果は、多発性癌。
骨肉種に始まり、肺に転移し、脳にも腫瘍が認められた。
もう既に、手の施しようがなかった。
その間、僅か三ヶ月。
目の前で、木が倒れるように崩れ落ちる深雪の身体を抱きしめて、俺は泣いた。
深雪が亡くなるまでの二ヶ月余り、俺はずっと彼女の傍にいた。
「お兄ちゃん、そばにいて……」
そう言って、深雪が俺の手を離さなかったから。
あれは、恋だったのかな?
俺はずっと、それを恋だと思っていた。
深雪が死んだ時、もう誰も愛することは出来ないと思った。
そうすることが、深雪への愛の証だと思っっていた。
最後まで、深雪は俺のことを兄として慕ってくれていたのに……