華と…
「せっかくお出で下さったんどすから、お参りしてもらいましょか」
通されたのは、奥座敷の仏間だった。
開かれた仏壇の中は、綺麗な花で一杯だった。
優子さんは、蝋燭に火を点すと、リンを一回鳴らした。
「深雪はん、雄一はんが、恋人はんを連れてきなはりましたよ」
静かな声でそう仏前に語りかけた。
「華はん、こちらへ」
仏さんに向き合った。
仏壇の中には、沢山のお位牌と共に、若い綺麗な女の子の写真が飾ってあった。
――わたし?
自分で見ても見間違うほど、わたしに良く似た少女の顔がそこにあった。
長い髪、切れ長の目、ふっくらとした口元。
そして、何処か違和感のある表情。
雄一に会う前の、わたし自身がそこにいた。
線香に火をつけ、リンを鳴らして手を合わせる。
香ばしいビャクダンの香りに包まれ、わたしを見つめる深雪さんと目を合わせた。
彼女の心の叫びが、わたしに伝わってくるようで泣けてきた。