華と…
「俺と華は似てるんだ。
だから、華が考えてることならだいたいわかる。
今日、俺の実家を見て、お前また少し落ち込んだろ」
「えっ?」
「お前んちも呉服問屋だったよな。
お前、婿取りの跡取り娘だろ?」
そう言って、くったくなく笑う雄一が許せなかった。
「だから?
だからって、雄一には関係ないでしょ!
雄一こそ、造り酒屋の跡取りな癖に」
同じ、家をしょった者同士。
その意味を、雄一は本当にわかっているのだろうか?
「そんなこと、今から考えてどうなるもんでもないだろう、華」
「わたしには、笑いごとでは済まされない問題だよ」
「華。俺だけを見て。
今、ここにいる俺だけを見てよ。
俺は華だけを見てる。
俺は華が好き。
素直な気持ちでそう言えるようになったんだ」
こんな狭い車の中で、逃げも隠れもできないこんな場所で、反則だよ雄一、そんなこと真顔で言うなんて。