華と…
急いで身の回りの荷物を纏め、ダウンのロングコートとムートンブーツを履いて駅へと走った。
一刻の猶予もない。
見つからないうちに、少しでも遠くへ逃げなければ。
こういう時、わたしの決断は早い。
取りあえず定期で駅に入り、入ってきた電車に飛び乗った。
――夜逃げじゃあるまいし……、どんだけ焦ってるの?
息せき切って飛び乗った電車の中で、走り去る車窓の景色を眺めながら、自分の行動に驚いていた。
――雄一……、会いたいよ……
会いたい気持ちが募るほどに、不安も加速度的に増していった。
――どうなるのかな、わたし達……