華と…
わたしは、お母様に教えられた通り、秋田駅で奥羽本線に乗り換えて横手へ向かった。
雪国の在来線は、降りしきる吹雪もなんのその、力強く雪を撒き散らして線路を進んで行った。
『よごてぇ、よごてぇ』
降り立ったそこは、一面白の別世界。
わたしの真っ赤なダウンのコートが、ポツンと小さいシミのように見えた。
「ハナ!」
目の前には雄一の姿があった。
何で、雄一がここに?
「母さんに連絡貰ったんだ。
華が秋田に来てるって。
こんな田舎の列車なんて、一時間に何本もないし、華がどの列車に乗ったかなんて、直ぐ分かる」
懐かしい雄一の笑顔に、居ても立ってもいられず、わたしはその胸に飛び込んだ。