華と…
「華んちの番頭の坂本って奴。
そいつにも、長年付き合ってる女がいる」
「雄一ってば、そんなことまで調べたの?」
「母さんが知ってたんだ。
東京の二階堂呉服店って言えば、かなりの老舗で、京の染め元では有名らしい。
季節毎の作品展示会にいつも東京からくる二階堂の番頭、坂本って奴のことも直ぐにわかったよ。
母さんの話に寄れば、奴の女は京都にいる」
「何年も、それも東京と京都で、それって付き合ってるって言えるの?」
「だって、多分、奴が結婚しない理由はそこにある。
その女と添い遂げることが出来ないから、奴は誰とも結婚しない」
「それって……」