華と…
それから、二人が親密な関係になるのに、そう時間はかからなかった。
大学に入った開放感と彼に対する興味が、わたしの心の鍵を開けた。
鍵を開けられたわたしの心は、外の世界に無防備だった。
「華……」
名を呼ばれると、身体中の血がザワメキたった。
予想外の展開に戸惑いはしたが、それ以上に彼への想いが強かった。
「好きだよ……」
その一言で、わたしの心は雄一に向けて開かれた。
わたしは恋愛初心者で、打算とか駆け引きとか、そういうものに無縁だったから、彼の言葉をそのまま信じた。
雄一は嘘偽りのない、真面目な男だと思った。
実際、彼と一緒にいると楽しかった。
わたしが彼を好きになるのに、なんの障害もなかった。
でも、それこそが彼の違和感だったとは……