華と…


「そうどすなぁ。

二階堂さんと結婚しなはると決めた時から、操さんは少しも笑わんようなってしもうて。

わたしもずっと気にはなっとりました。

つらかったろう思います。

健一さんと別れるのは。

そりゃもう仲の良い二人でしたから」


「健一さん?」


「操さんの恋人だったお人です。六年前に亡くなりましたけんど」



「亡くなった?」



「そうどす。突然の交通事故どした。

一応電報でお知らせはしたんどすが、操さんは葬儀には来なはりませんでした」



「六年前……」



わたしには思い当たる節があった。
< 80 / 202 >

この作品をシェア

pagetop