華と…



『だから雪国の春は美しい』



わたしは、そう言った雄一の優しさを思う。


全てを無に帰して、覆い尽くす。

純白の雪原を思い出す。


この地に春が訪れる時。

それはどれ程の命に溢れていることだろう。




雪国の春を雄一と見てみたい。

雪解けの春を、雄一と、一緒に。



わたし達の春も、そこから始まるような気がするから。


< 83 / 202 >

この作品をシェア

pagetop