ウソつき〜後悔した理由〜

「……ところで。
なぜ私はここに？」



これ本題でしょ。


『……え？』



え？


青いほう……京太郎が驚きの声をだす。



『聞いてないの？』



……え？


誰に？


『聞いてないみたいだね。
蓮のやつ…。』



あ、宮下蓮…に？



聞いてないです…たぶん


あ、でも。

「“連れてこいって言われた”なら聞きました。」



……殴られる前に言ってたよね。



てか 何で敬語なんだろ…。


無意識？



『……じゃあ、詳しくは話してないみたいだね。
じゃあ、何？
蓮のやつ、誘拐じゃん。』


……誘拐ですよ？



『京。落ち着けって。』



赤いほう…兄の良太郎が弟の京太郎をなだめる。


「………帰っていいですか？」


『『え？』』


珍しく兄の良太郎も驚きの声をだした。



『……ごめんね？
蓮が言ったとおり、“連れてこい”って言われてるから…。
用事が終わるまで待ってて？』



……用事が終わるまで？


……待っててってことは…。


やっぱり私は…餌？



おびき寄せるための…餌？



……翔太にはもちろんだけど、陽にはなおさら迷惑をかけたくない。



足を引っ張りたくない。



「………誰に、連れてこいって言われたんですか？」


『………え？
えっと…それはね？『京。やめろ。』』



良太郎が言葉を阻んだ。


……どうして？



『何だよ、いいだろ？
別に。』


『ダメに決まってるだろ。
お前は甘すぎるよ、京。』

双子の間で険悪なムードが漂う。


き…きまずい。


「……すみません、私が聞いたからですよね？
もう聞きませんから…。」