ウソつき〜後悔した理由〜




「……いつまで、時間稼ぎするつもりなわけ?」



『……う〜ん…。』


京。


どうせだったら総長のところに連れていってもらったほうが。


自分で話をつけられる。



「京。総長に会わせて。」


私がそう言うと、京の瞳が変わった。


…な、なに?


『………美音。
それはダメだ。』



良が突然喋った…。



「どうしてダメなの?」


『……最近のあの人はおかしくなってる。
美音に会わせたら、何されるかわからないし、危険だ。
それに、美音に会うことで総長自身がおかしくなる。』



良ばっかり話していて、京はどうしたのだろう?



京…?

怪しいオーラが京から出ている。


「ま、待って?
てことは…最初から私を総長のところに連れていく気はなかったってこと……?」



『そういうことになるな。』



「………どうして?」



『何がだ?』


「どうして…京と良はさっき初めて会ったばかりの私のこと…そんなに?」




『……美音は、俺らに似てるオーラをかんじる。
あくまで勘だけどな。』



……一緒だ。


私が京と良に抱いていた感情と。




「京?」



まだ怪しいオーラを出し続ける京に問う。



『……美音。
あの人には会わないほうがいいよ。
俺らの総長にはね。』



……え?



それだけ言うと、京の怪しいオーラはなくなった。



「……“劣華”を狙ってるの?」




私がそう聞いた瞬間。


京と良の肩が少しだけ動いたのを見た。




『“劣華”か…。
懐かしい名前だな。』



………懐かしい?



どういうこと?


『“劣華”……ね?』



京がそう呟いた。


気のせいだろうか。

京が嬉しそうに見えるのは。



じゃあ、狙ってはないってこと?



「“劣華”のこと…狙ってないんだ?」


『俺らはな?』


俺らは?


『総長はともかく、俺と京は狙ってねぇ。』


『良。総長はともかくってなんだよ。』


『は?総長は狙ってっかもしんね〜だろ。』


“かも”……?


し…信用し難い…。


「……あ。
“劣華”の総長って…」


私がそう聞こうとしたとき。


異変がおこった。


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