ビターな恋
「この日って…」
「亜梨紗の入学式よ」
母さんはダイニングテーブルに座り、カップのコーヒーをすすった。
「この日は…だめだ。どうしても抜けられない講義が…」
「別にお兄ちゃんに来てほしいなんて言ってないよ」
部屋着に着替えた亜梨紗がリビングに入ってきた。
「妹の晴れ舞台は見たいのが兄心だ…
ていうか亜梨紗、まだ根に持ってんのかよ」
「………」
亜梨紗は無言で母さんの前に座る。
「…亜梨紗、許してあげなさい。悪気があったわけじゃないんだろうし。
亜梨紗にとってもいい運動になったでしょ?」
「むぅ…わかったよ。許してあげる‼」
亜梨紗はそっぽを向きながらそう言った。