ビターな恋
昨日、結局片づけが終わったのが夜中で…
私は寝坊をして、慌てて家を出るはめになった。
亜梨紗の家に走って向かう途中、目の端でちらりと見たのは京平さんのような気がした。
《あれ…京平さん?》
立ち止り、後ろを振り返ったけど、もうその人影は見えなくなっていて…
「……は‼遅刻する‼」
私は再び走り出した。
亜梨紗の家の前に着き、チャイムを鳴らすと家の中からパタパタ…という音が聞こえ
「つばさ!?」
と、勢いよくドアが開けられた。
「亜梨紗、おはよう。
……遅刻した?」
「ううん、時間ぴったり‼」
亜梨紗は笑って、どうぞ、と私を家の中に招き入れた。
「おじゃまします」
靴を脱ぎ、リビングに入ると亜梨紗のお母さんがいた。
「つばさちゃんいらっしゃい‼久しぶりねー、元気にしてた?」
「はい‼」
「ちょっと髪伸びたのねぇ」
「そうですか?自分だとわからなくて…。でもそろそろ切ろうかと。
あ、これつまらないものですが…」
「あらいいのに‼」
私はお母さんに持たされたクッキーの詰め合わせを差し出した。