ビターな恋
「あ‼仁美さんだ‼帰ってきたの!?」
亜梨紗は仁美さん、というその女性に駆け寄った。
仁美さんと呼ばれた女性は、紺色のロングティーシャツに、細身のジーンズ、それに白いバッグを持っていた。
仁美さんは髪の長いきれいな人だった。
《きれいな人…》
「亜梨紗ちゃん久しぶり‼はい、これ、お土産‼」
「わぁ、ケーキだ‼仁美さんありがとう‼」
仁美さんは笑顔を浮かべていた。
「ありがとう、仁美ちゃん。
京平、あなた自分のマグカップくらい片づけて行きなさいよね。」
「あ、悪い、母さん」
「私じゃなくてつばさちゃんに言いなさい。
つばさちゃんが気づいて下げてくれたんだから。」
京平さんは私の方を見た。
「…つばさが?」
「あ、うん…」
私はなんだか恥ずかしくなって目をそらす。