ビターな恋
「…そっか、ありがとな。」
柔らかい雰囲気が伝わってきたので、チラッと京平さんに目を向けると、その顔には笑みを浮かべていた。
ドキッ
私の心臓が大きな音を立てる。
私は慌てて、再び京平さんから目をそらした。
「…亜梨紗ちゃんのお友達?」
仁美さんの声がしたので、仁美さんの方を見る。
仁美さんは私をにこやかに見つめていた。
「あ、はい。八城つばさです。初めまして。」
「初めまして‼北澤仁美です‼」
「仁美、上行くぞ。」
京平さんがそう言うと
「あ、うん。よかったら、つばさちゃんもケーキ食べてね。」
「ありがとうございます。」
仁美さんはひらひらと手を振りながら、京平さんに続いてリビングを出た。
私はそれを見届けてから、ケーキの箱を覗いている亜梨紗に尋ねる。