ビターな恋
「亜梨紗、仁美さんって…」
「あ、仁美さんはね、お兄ちゃんの彼女さんだよ‼」
「えっ彼女!?」
「うん。
高校の時から付き合ってて、今は仁美さんが地方の大学に行っちゃってるから…
確か長期休暇の時にしか会えないんだっけ?」
「そう、なんだ…
大変だね…」
「遠距離恋愛だね。
あ、つばさはどのケーキ食べる?」
亜梨紗は私にケーキの箱を見せた。
箱の中には、キレイな模様が描かれたケーキから、少し苦そうな印象を受けるダークなケーキ…
宝石にも負けないような輝きを持つケーキまであったけれど…
「私は…いいや。ダイエット中だし…」
「えー、つばさはダイエットなんて必要ないよ‼」
唇を尖らせて亜梨紗は文句を言った。
でも、私はショックで食べる気がしなかったんだ。
…ショック?
うん、ショックだ。
京平さんに彼女がいると知って…胸が痛くなった。