ビターな恋
ふと、時計を見ると、既に二時をまわっていた。
「そういえば、お前らお昼食べたのか?」
「食べたよー。お兄ちゃんが仁美さんと上にいたときに」
「…母さんは?」
リビングを見回して、キッチンも覗いたが、母さんの姿は見えない。
「買い物行ったよ?夕飯張り切ってるみたい」
「なんか…申し訳ないなぁ…」
つばさがポツリとつぶやいた。
「何言ってるの?つばさと一緒に食べられる夕飯なんだから、頑張ってもらわなきゃ!!」
亜梨紗はニコニコ笑っている。
まぁ、つばさのことは母さんも気に入ってるみたいだから、亜梨紗が言わなくても張り切るだろう。
そんなことを話していると
「ただいまー」
母さんが帰ってきた。
「京平ー!!ちょっと来てー」
母さんに呼ばれた俺は玄関に向かう。
「うわっ。随分買ったなぁ…」
「つばさちゃんいるからね!!張り切るわよ!!」
母さんは靴を脱いでいた手を止めて、ガッツポーズを見せた。